1. MXPの全貌:ミラノ市街地から50kmの「遠すぎる」空港
ファッションとデザインの街・ミラノ。ここへ空路でアクセスする場合、メインゲートとなるのが「マルペンサ国際空港(MXP)」です(その他の空港としてリナーテとベルガモがありますが、長距離便やLCCのハブはMXPです)。
マルペンサ空港の最大の特徴であり弱点でもあります。それは「ミラノの中心部から北西へ約50kmも離れた山奥(ヴァレーゼ県)にポツンとある」という絶望的な立地の悪さです。東京で言えば成田空港ほどの距離感があります。したがって、空港に着いた瞬間に「すぐドゥオーモを見に行こう」といった軽いフットワークは通用せず、入国してからも市内までの本格的な長距離移動(およそ1時間弱)が必要になることを覚悟してください。「近くて便利」な旅行を想定していると、移動だけで体力を削られることになります。
2. T2の罠:easyJet(LCC)専用ターミナル
ヨーロッパ域内をLCCで飛び回っているバックパッカーにとって、マルペンサ空港のターミナル構造は必ず把握しておくべき「初見殺しの罠」を含んでいます。
マルペンサにはターミナル1(T1)とターミナル2(T2)がありますが、この2つは数km離れており、歩いての移動は不可能です(無料の連絡シャトルバスで約10〜15分かかります)。そして重要なのが、「ターミナル2(T2)は、ヨーロッパ最大のLCCのひとつである【easyJet(イージージェット)】が完全に独占・専用で使用している」という事実です。逆にライアンエアー(Ryanair)やウィズエアー(Wizz Air)などの他のLCCや、レガシーキャリアの国際線はすべてT1を使用します。もし自分がeasyJetで到着した場合、そこは巨大な倉庫のようなT2です。帰り(ミラノから出発する際)も、間違えてピカピカのT1で降りてしまうと、搭乗時刻に間に合わなくなる大惨事を引き起こすため、自分がどちらのターミナルを利用するのかは死守すべき重要情報です。
3. 王道:直通列車「マルペンサ・エクスプレス」
市街地から50kmという距離を最も確実かつスピーディーに結ぶ絶対王者が、直通列車「マルペンサ・エクスプレス(Malpensa Express)」です。
この列車はT2を始発とし、T1を経由してミラノ市内へと向かいます(ミラノから向かう際はT1に停まった後、終点T2まで行きます)。料金は片道€13(約2,100円)。ここで一つ注意点が、マルペンサ・エクスプレスには「ミラノ中央駅(Milano Centrale)行き」と「カドルナ駅(Milano Cadorna)行き」の2つの異なる行き差先(路線)が存在することです。
もしあなたの宿がミラノ中央駅周辺や、地下鉄2号線・3号線沿いなら「中央駅行き(所要約50分)」に乗りましょう。一方で、スフォルツェスコ城の近くやドゥオーモ方面、観光の中心地に直接アクセスしたい場合は「カドルナ駅行き(所要約37分)」の方が圧倒的に早く市内中心部に食い込めます。駅のホームの電光掲示板で、来た列車がどちらの終点へ向かうのかを必ず確認してから乗車してください。
4. 中距離バス:複数社が入り乱れる激戦区
列車の€13が高いと感じる、あるいは時間に余裕がある場合は、空港とミラノ中央駅を結ぶ「空港シャトルバス」が心強い味方になります。料金は片道€10(各社共通で協定を結んでいる模様)で、列車より数百円安くなります。(オンラインで往復券を買うと€16など割引があります)。
シャトルバスの乗り場(T1の到着フロア外側)に出ると、「Terravision(テラヴィジョン)」「Malpensa Bus Express(マルペンサ・シャトル)」「Autostradale(アウトストラダーレ)」など、複数のバス会社の車両が横一列に並んでおり、それぞれの係員が「こっちが先に出るよ!」と客引きをしています。基本的にどこに乗っても料金も到着場所(中央駅横のバス停)も同じです。チケットを持たずに外に出た場合でも、バスの横に立っている係員から現金やカードで直接チケットを買ってすぐに乗車できるため、一番早く発車しそうなバスの座席に座ってしまうのが正解です。所要時間は約60分ですが、高速道路での渋滞時にはそれ以上かかるリスクがあることだけは承知しておきましょう。
5. タクシーの現実:驚愕の「€110固定料金」
「荷物も多いし、疲れたからタクシーでホテルまで直行しようか」――もしあなたが大富豪でない限り、マルペンサ空港でこの選択をすることはおすすめしません。
空港からミラノ市内への公式タクシー料金は、距離があまりにも遠すぎるためメーター制ではなく「一律 €110(約18,000円)」という超高額な定額制(Flat Rate)が定められています。3人で乗っても1人6,000円の負担です。さらに追い打ちをかけるように、イタリアでは一般のドライバーが自家用車で迎えに来る通常の配車アプリ(UberXなど)が法律で実質的に禁止されており、Uberのアプリを開いても出てくるのは高級なハイヤー(Uber Black)のみ。料金は€150を超えることもザラです。
マルペンサからミラノへ向かう場合、移動手段は実質的に「列車かバスの二択」であると心に刻んでおいてください。