1. LAXの洗礼:巨大空港と「LAX-it」の罠
日本のLCC(ZIPAIR等)も直行便を就航させ、以前より格段に安く行けるようになったアメリカ西海岸最大の玄関口「ロサンゼルス国際空港(LAX)」。しかし、LAXの空港アクセスは全米でも屈指の「初見殺し」として悪名を轟かせています。
LAXは巨大なU字型の道路に沿って9つのターミナルが密し並ぶ構造をしており、四六時中、激しい渋滞が発生しています。この渋滞を緩和するため、数年前から「空港ターミナルの目の前でタクシーやUber、Lyftに乗車することが全面禁止」となりました。
現在、タクシーや配車アプリを利用するには、ターミナルを出てから緑色の専用無料シャトルバスに乗り込み、駐車場跡地に作られた「LAX-it(ラニット)」と呼ばれる広大な専用ピックアップエリアまで(渋滞の中を)強制的に移動させられます。長時間のフライトで疲労困憊の中、重いスーツケースを持って満員のシャトルバスに揺られるのはなかなかの苦行です。「空港の外に出た瞬間からアメリカの洗礼が始まる」ことをまずは覚悟してください。
2. 圧倒的コスパの王道:FlyAwayバス完全攻略
「LAX-itへの面倒な移動は嫌だ」「だけどUberの$60〜$100は高すぎる」という旅行者にとって、唯一にして最強の救世主となるのが「FlyAway(フライアウェイ)」という空港直行の大型コーチバスです。
最大の特徴は「LAX-itに行かずとも、各ターミナルの到着ロビーの目の前にある緑色の柱(FlyAwayの標識)から直接乗り込める」という点です。ルートはロサンゼルスの交通の要所であるダウンタウンの「Union Station(ユニオン駅)」行きと、「Van Nuys(バンナイズ)」行きの2路線があります。観光客の9割はユニオン駅行きに乗ることになります。
料金は片道$9.75(約1,500円)と、物価高のアメリカにおいては破格の安さ。事前予約は不要で、バスに乗り込んでユニオン駅に到着した際に降車口の係員にクレジットカードを専用端末にタッチして決済するシステムです(現金不可)。車内にはWi-Fiもあり、渋滞がなければ約30分でダウンタウンへ直行できる「絶対的コスパ王者」のルートです。
3. Uber/Lyftの利用術:専用シャトルでLAX-itへ
ホテルがハリウッドやサンタモニカなど、ユニオン駅から遠い場所にあり、荷物も大きい場合はUberやLyft(アメリカで普及している配車アプリ)の出番です。
手順としては、到着ロビーを出て緑色の柱「LAX-it」と書かれた場所から循環シャトルバスに乗り、LAX-itエリアへ向かいます。エリアに到着したら、自分の利用するアプリ(UberかLyftか)とグレードの指定エリア(ゾーン番号)に行き、アプリから配車リクエストをかけます。
LAは非常に広大で、かつ常時どこかしらで渋滞しているため、空港からの乗車料金はハリウッド方面で$50〜$80、サンタモニカ方面でも$40〜$60ほどかかるのがザラです。しかし、「LAの公共交通機関は治安面で不安が多い」という根本的な問題を抱えているため、ドアツードアで安全を買うという意味では、決して削るべきではない出費と言えます。
4. 地下鉄(Metro)ルート:「治安リスク」が高すぎる理由
「少しでも交通費を浮かせたい」と調べると、無料シャトルバス(Gシャトル)に乗って地下鉄(Metro)Cライン(グリーンライン)の「Aviation/LAX駅」へ行き、そこから電車を乗り継ぐという片道$1.75の究極の節約ルートが検索でヒットします。
しかし、観光客、特にスーツケースを持った状態でのこのルートの利用は「絶対に推奨しません」。ロサンゼルスの地下鉄は、乗客の層が日本とは全く異なり、ホームレスや挙動不審な人物が多数乗車しているのが日常です。特に空港を通るCラインからダウンタウンへ向かう乗り継ぎ駅(Willowbrook/Rosa Parks駅など)は、LAの中でも屈指の治安の悪いエリアに位置しています。「数千円をケチって、スリや強盗のリスク、あるいは強烈な恐怖体験を買う」ことは、楽しい旅行を初日で台無しにする愚行です。
5. 深夜到着(ZIPAIR等)の治安最優先・直行戦略
ZIPAIRなどのLCCを利用すると、LAXに午前中または昼間に到着するケースが多いですが、スケジュールの都合や他の航空会社で夜遅く(21時以降など)に到着してしまった場合は、行動方針を一変させる必要があります。
ロサンゼルスのダウンタウンは、日中は観光客で賑わっていても、夜になると雰囲気が一変し、道を一本間違えるだけでテント村や危険地帯(スキッドロウ等)に迷い込みます。「FlyAwayバスでユニオン駅まで行って、そこから歩く(あるいは地下鉄に乗る)」という行動は、深夜帯においては自殺行為に等しいです。
深夜到着の場合は、高くてもLAX-itからUber/Lyftに乗ってホテルのエントランスまで完全ドアツードアで向かうか、日本出発前に旅行会社(Klookやkkday)の「空港送迎チャーター」を手配して到着ゲートでドライバーに待っていてもらうのが、自分の身を守るための唯一の正解となります。